数年前。大井町にあった焼肉店で私は衝撃を受けた。 小さな汚い店で、いわゆる韓国焼肉屋のような店だったが、肉は抜群に旨かった。 タンは厚くほんのりと桃色でふっくらと柔らかく、肉本来の甘さが口の中いっぱいに溢れた。 「旨い!」ハラミやカルビも、本マグロどころではない。 今まで肉を食べて、こんなに感動したことはなかった。 私はもっと知りたくなり、この店に足繁く通いつづけ、 美味しい和牛の選び方、牛の歳、和牛のランク付け・生産地・ それぞれの部位についての特徴など、店主からいろいろ教えてもらった。 それから時は流れ、店は無くなってしまったが 私の和牛に対する情熱はいつまでたっても消えることはなかった。 美味しい!と喜ぶ人々の顔が見たい! 焼肉店のイメージを覆したい!(汚い・臭い・安い肉をタレでごまかして高く売る) そして「だったら自分でやるしかない」という結論に至り、店を出す決心をした。 店はシンプルで煙臭くない清潔感あふれる空間。 食材は黒毛和牛の最高級A5ランク。しかも生肉。冷凍保存はしない。 そしてお財布に優しいこと。そうでなければ、わざわざ私がやる意味がない。 2003年2月、今までの思いを込めた店をやっとオープンすることができた。 「旨~い!」「お肉ってこんなに甘いの?とろけるよ」など お客様の声と溢れる笑顔を見ていると、店を出して本当によかったと心から思う。 そしてあるお客様がおっしゃった言葉。 「この店にきて、焼肉の概念が変わった!」この一言が本当に嬉しかった。 まさに、この言葉を聞きたくて店を出したのだから。

店主 近藤正男